
#4 セックスレスになった夜~行為が義務になるつらさでレスに~
「僕たちの妊活始めました。」シリーズ
#1 はじめて“妊活”という言葉に向き合った日~まだ自分ごとじゃなかった僕が、調べて涙した夜~
#2 タイミング法って、思ったよりプレッシャーだ ~「“今日が排卵日”って言われた僕の本音」~
#3 ドラッグストアで立ち尽くした僕の選択 ~“葉酸と亜鉛”を手にした日~
「もう“する”っていうのが、怖くなってたんだと思う」
妊活が始まって、排卵日が近づくたびに、
ふたりの距離は物理的には近づくはずだった。
でも心の距離は、逆にどんどん遠くなっていった。
仕事の疲れ、長く続いた関係の倦怠感、
そして妻の身体に性的な興奮を抱けなくなっていた自分――。
“子どもはほしい”という気持ちだけが先行して、
行為は義務になり、気づけば「触れ合うこと」さえ避けるようになっていた。
今回は、妊活中にセックスレスになった僕たち夫婦のことを、正直に書きます。
なぜ、僕たちはセックスできなくなったのか
長く一緒にいるからこその“倦怠感”
結婚前の付き合った期間も含めると10年近く一緒にいる私たち。
遠距離恋愛をしていた時は、会うこと自体が稀で刺激に。
しかしそんな刺激はずっとは続きません。同棲や結婚をしたらなおさら。
たまに会える存在から、常にいる存在へ—————。
妻に対しての感情がゆっくりと、しかし確実に変わっていきました。
私たちの生活を脅かす方向へ。
妻に欲情できなくなったという事実
妻に直接言えなかった。
妻を傷つけてしまう気がして。関係を終わらせてしまう気がして…。
ですが、欲情できなくなっていたのは事実です。
妻のことは好き、なのに欲情できない。
「欲情しないではなくて、欲情”できない”」
そんな風に感じていることが、とても辛かったです。
妻のことはちゃんと、好きなのに―———。
関係の終わりが、どんどん迫ってきている。
そんな気持ちが、いつもアタマのどこかにありました。
仕事の変化と慢性的な疲労感
妻に欲情しなくなってきたことに加えての、仕事の変化と慢性的な疲労感。
ですが、これはある意味私にとっての安心要素でもありました。
だって、「妻に欲情しなくなっている」という本音から目を背けることができるから。
「あー、仕事の変化や仕事の疲労感があるから仕方ないんだ」って、自分に言い聞かせることができる。
それに、それなら妻に言いやすい。
もちろん、原因の一つに仕事の変化や疲労感もあったと思います。
だた、絶対に一番の原因じゃない。いや、むしろ原因というか言い訳の一つだったんだろうね。
ただ、妻に欲情しなくなったという現実を伝えられないし見たくなかった。
そんな私にとって「仕事の変化による疲労」は、レスを肯定する大義名分としては十分だった。
「しなきゃ」に追われて、心が置き去りになった夜
仕事の疲れなんて大義名分を得たところで、現実はセックスレスなまま変わらない。
「結婚相手だし子どもも欲しいし、しなきゃ!」という気持ちに追われました。
浮気するつもりなどさらさらない。
それが逆に、痛かった。
妻が好き、妻と向き合いたい。ちゃんとできるようになりたい。
そんな気持ちが、私をゴリゴリと刺してくる。
妻を好きな分、できなくなっている現実が辛かった。
「したい」が、いつの間にか「しなきゃ」に。
どんどん心が置き去りになっていきました。
義務感が、欲情しない現実が、さらに私のできない気持ちを焦らせる。
「切り出し方がわからない」沈黙の時間が長引いて
ずっとしないでいると、もはや切り出し方すら分からなくなってくる。
今までそもそも、切り出し方なんて意識したこともなかった。
切り出し方を意識するってことは妻のことがもう好きじゃない・・・?
そんな感情にも、とても苦しめられました。
けどやっぱり、妻が好き。
セックスレスの打開策でよく言われるのが、雰囲気を変えること。
旅行で非日常を。
私は、妻を旅行に誘いました。
「(これでできなかったら、もう終わりだ。)」
そんな気持ちが頭をよぎる。
けど大丈夫、大丈夫だ。
私には妻と過ごしたかけがえのない時間がある。絶対に・・・できる。
私は旅行へと向かった。
旅行はとても楽しいものでした。
けど、
できなかった。
もう完全に終わった。
この人とは、いつか別れることになるんだろう。
そんな覚悟を福井で、した。
この経験が私にさらなる追い打ちをかけました。
ぶつかり合った夜、それが転機になった
セックスレスのことで喧嘩が増えていった
もうできないんだな、とほとんど諦めの境地。
ですが、結婚生活は続いています。
気まずい空気やセックスレスのことで喧嘩になることが増えました。
原因を作っているのは、たしかに私です。
しかし私だって、レスになりたくてなってるワケじゃないです。
なので許されてもいいんじゃないのか。
そんな気持ちもありました。
妻だってもっとがんばってくれてもいいのに!
妻は何も悪くないのはアタマでは分かっている、分かっているのに―――――。
自暴自棄に似た、そんな感覚で私の情緒はもうめちゃくちゃでした。
そして、ついに
「子どもを作るのは、もうやめよう」――涙の喧嘩
私は妻に小言を言われました。妊活には関係ないことです。
ですがそれが引き金となって、その日の夜はずっと家に帰りませんでした。
完全に自信を失ったんです。
それまでは喧嘩をしても、どこかで「いつかどうにかなる」という気持ちがありました。
何をするわけでもなくレスになったんだから、何をするわけでもなくレスが解消される、と。
ですがこの喧嘩で、その小さな最後の自信を完全に失いました。
なんとか帰宅し、私はついに
「妊活をやめよう。」
「子どもを育てるのはそもそも無理だ。」
妻に吐き捨てました。
もう無理、限界。どうにでもなれ。
思っていること、感じていることを妻に伝えました。
伝えたというより、投げつけた感じ。
けど。
それが功を奏した。
心の奥をさらけ出した先に見えた“希望”
心の奥をさらけ出したことによって、すぐにセックスレスは解消しました。
何をするわけでもなくレスが解消され、、たワケではないけど、思いは伝えられたし結果よかった。
私たち夫婦に希望が見えてきました。
陽性反応が出たワケでもない、けれど・・・夫婦関係が続けられる。
それがただただ、嬉しかった。
ここから私たちの妊活が、本格的に再スタートしました。
もう、大丈夫。
まとめ:夫婦で向き合うって、“正直になること”から始まる
セックスができなかった理由は、いくつもありました。。
倦怠感、性的な興奮の消失、疲れ、義務感――
ですが一番の問題は、「それを言えなかったこと」だったのかもしれない。
ぶつかって、泣いて、正直な気持ちをさらけ出して、
ようやく、僕たちは“夫婦としての原点”に戻れた気がしました。
あの夜がなかったら、今の妊活の形も、きっとなかったと思う。


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