出産費用“無償化”って必要?──私たち夫婦が一時金との違いに気づいた日
「え、出産って今も50万円もらえるんでしょ?」
実は、私たち夫婦も最近までそう思っていました。
それでも“出産費用無償化”という新制度に期待が集まるのはなぜなのでしょうか?
今回の記事では、出産育児一時金と無償化制度の違いを整理しつつ、私たち夫婦が話し合った「お金より大事な“安心感”」についても、素直に書いてみたいと思います。
出産育児一時金ってどんな制度?
現行の仕組みと支給額
🍼 出産育児一時金とは?
出産したときに、健康保険から支給されるお金です。
現在の支給額は【原則 50万円】です(産科医療補償制度に加入している医療機関での出産の場合)。
✅ 対象となる人
健康保険に加入している人(本人または扶養者)
妊娠85日(12週)以上での出産が対象
※流産や死産でも、週数を満たしていれば対象になります
💡 いつ、どうやってもらえる?
▼直接支払制度(多くの病院が対応)
出産費用を病院が一時的に立て替えて、健康保険から直接病院に支払われる制度です。
→ 自分で一時金を申請しなくてもOK
→ 出産費用が一時金の額を下回った場合、差額はあとから受け取れます
▼自分で申請する場合(まれ)
病院に一括で支払ってから、健康保険に申請して受け取る方法です。
💬 こんな使われ方をしています
「出産費用が50万円近くかかると聞いて不安だったけど、“出産育児一時金”でほぼカバーできました」
「病院が直接請求してくれたから、お金の準備はほとんど必要なかった」
「無痛分娩や個室を選んだら差額が発生して、5万円くらい自己負担になったけど、それでも助かった」
「実質50万円もらえる」の裏にある“立て替え”という現実
多くの方が、「出産育児一時金があるから出産費用はかからない」と思いがち…
ですが!!
実際には“一時的に自己負担する必要がある”場合が多いんです。
例えば──
分娩費用や入院費用など、先に医療機関へ50万円以上を支払う必要がある(※出産費用は平均して50〜60万円)。
その後、健康保険を通じて「出産育児一時金(原則50万円)」が後から支給される仕組み。
つまり…、
「もらえる」=「いったん払ってから取り戻す」
という構図で、手元に現金がないと少し厳しいケースもあるんです。
仮に手元に現金があったとしても、50万円以上を一気に支払うのは心もとないですよね。
現金がない人はどうするの…?大丈夫なの?みたいな気持ちもあると思います。
出産費用無償化とは?一時金と何が違う?
一時金は「無償化」とは別です。
→ 今あるのは“出産に対する補助”
→ これから検討されているのは“標準的な出産費用の完全無償化”(2026年目標)
そもそも“完全無料”になるの?
「出産費用が無償化される」と聞くと、「じゃあお金はいっさいかからないんだ!」と思ってしまいがち。
でも実は、すべてが完全無料になるわけではない可能性が高いんですよね。
厚生労働省が検討している「出産費用無償化」は、
主に出産にかかる医療的な費用(=保険適用部分)を公費でカバーする方向性です。
しかし──
個室利用の料金
時間外や休日の出産による加算
希望する出産スタイル(無痛分娩や和痛分娩など)にかかる追加費用
入院中のアメニティや食事のグレードアップ代
など、医療費とは別に発生する実費部分は自己負担が残る可能性が高いんです。
つまり…、
出産費用=0円になるわけではなく、「標準的な出産費用」の部分が補助される、というイメージ。
現時点では制度の詳細が完全には決まっていないため、「無償化=完全無料」と思い込まず、情報をしっかりキャッチアップすることが大切です。
「お金を払う不安」そのものがなくなる仕組み
📊 図解・比較表案:「出産育児一時金」と「出産費用無償化」の違い
比較項目 | 出産育児一時金(現行) | 出産費用無償化(予定) |
---|---|---|
支援の形式 | 定額の現金支給(原則50万円) | 医療費の公費負担(実質“無料”) |
タイミング | 一度自分で立て替えて、後から支給 | 最初から支払い不要になる可能性あり |
使途の制限 | 医療機関の出産費用に充てることが前提 | 同上 |
メリット | 全国一律で支給、自由な医療機関選択 | 経済的ハードルが完全に取り除かれる |
デメリット・懸念 | 一時的でも自己資金が必要 | 制度詳細がまだ不透明(2025年7月時点) |
私たち夫婦の会話──「無償化って必要?」から始まった話
「どうせ戻ってくるならいいじゃん?」の落とし穴
出産育児一時金は、現在【原則50万円】が支給されます。だからこそ、多くの人がこう思いがちです。
「いったん払っても、どうせ戻ってくるんでしょ?」
たしかに、それは正解です──ただし、“すぐに戻ってくるとは限らない”し、“全額戻るとも限らない”んですよね。
いや、すぐに戻らないのは百歩譲ってまだいいとして、
全額戻るとも限らない・・・?
これは、困る!
✔️ 落とし穴①:自己負担ゼロとは限らない
出産育児一時金の支給額は 50万円ですが、実際の出産費用は病院や地域によってバラつきがあります。
都市部や人気の産院 → 60万円以上かかることも
特別室や無痛分娩などオプションが加わると、+10〜20万円になることも
つまり、出産費用が50万円を超える場合、その差額は自腹になります。
✔️ 落とし穴②:タイムラグがある
一時金は、基本的に「直接支払制度」で病院に支給されることが多く、手出しが減る仕組みですが──
対象外の施設では、自分で払ってから請求が必要なケースも
書類の不備や手続きの遅れで、数週間〜数ヶ月かかることも
つまり、貯金がないと一時的に大きな出費が必要になるケースもあります。
妊活中に“お金の話”が影を落とす瞬間
妊活中の夫婦にとって、「気持ちの準備」と同じくらい大切なのが「お金の準備」。
でも、この“お金”という話題は、ときに 空気をピリつかせてしまうことがあります。
✔️ たとえば、こんな会話
妻:「今月うまくいったら、予定日っていつになるのかな」
夫:「10月くらい?……あ、でもそれって出産費用、無償化間に合わないかもな」
妻:「……うん、まあ……」
そのあと、なんとなく会話が止まってしまった──。
こんなふうに、ふとした会話の中に「お金」が入ることで、希望や期待に水を差してしまう瞬間があるんです。
✔️ 悲観ではなく、現実と向き合う姿勢
「どうせ無償化じゃないなら今じゃないほうがいい?」
「少し時期をずらすべき?」
「でも、そんなこと言ってたらいつになるの?」
こうした問いかけは、ネガティブなものではなく、むしろ夫婦で現実と丁寧に向き合っている証拠。
でも、正解のない問いだからこそ、迷いや不安が入り込むのも自然なことです。
✔️ 気持ちとお金、両方を大事にする妊活へ
「お金の話は後回し」が優しさとは限りません。
むしろ、「今どこに不安があるか」「そのためにどんな準備ができるか」を話し合える関係性をつくることが、妊活の土台になると思っています。
まとめ|無償化って「金額」より「安心」の話だった
出産育児一時金は、たしかに大きな支援制度です。
でも、いったん自分で50万円を準備しないといけないという現実は、決して小さくありません。
だからこそ、出産費用の“完全無償化”は、経済的負担の軽減だけでなく、精神的な安心感にもつながります。
今回の私たちの会話が、同じように妊活や出産を考えている方にとって、少しでも参考になれば嬉しいです。
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