#僕たちの妊活はじめました。,  #妊活

#6 “ごめんね”から始まった、ふたりの再出発 ―セックスレスを越えたあとに必要だったのは、心のすり合わせだった―

\ 連載中「僕たちの妊活はじめました。」シリーズ /
#5 レスを越えても、心までは戻らなかった日#7 通院の決意は、プライドを捨てた夜だった

 

セックスレスを乗り越えて、ようやく「夫婦としての営み」が戻ったあの夜。
けれど、それですべてが元通りになったわけじゃありませんでした。

“できた”という事実の裏側で、僕たちはまだ、どこかぎこちなくて、
ちょっとした沈黙にも、表情の硬さにも、過敏になっていました。

「これって本当にお互いが求めてのことなのか?」
「またすれ違ってしまうんじゃないか?」

そんな小さな不安をひとつひとつほどいて、
本当に“夫婦としてのふたり”に戻れたのは、ある夜の一言がきっかけでした。

 

セックスは戻っても、心の距離は埋まっていなかった

「おかえり」も、「よかったね」も、ぎこちなかった

帰ってきて言ってくれる「おかえり」も、

行為が終わったあとに言ってくれる「よかったね」も、

私にはぎこちなく聞こえた。

妻からすれば、そんなつもりはなく自然に言っていたのだと思う。

でも私には、そう聞こえてしまった。

 

いや、妻も・・・

自然ではなかったのかもしれない。

私だけが不自然と感じていると思い込みんでいるだけで、本当は2人とも・・・?

 

行為はできているのに、残る不自然さ。

縮まらない心の距離。以前と違う空気感。

 

「もう二度と壊したくない」からこその、探り合い

心の距離感、微妙な空気感。

たぶんきっと、妻も感じていたと思います。

 

もう二度と壊したくない。

もう二度とセックスレスにはなりたくない。

 

2人の心の探り合いが始まった気がした。

いや、探っていたのは私だけかもしれない。

私だけが勝手にいろいろ思い込んでいただけなのかもしれない。

 

私だけが・・・。

 

行為はできるようになっても一時的なもので、すぐにまたこのぎこちなさにやられて元に戻ってしまうのだろうか・・・。

 

またセックスレスになるのだけは避けたかった。

けど心の距離が―――

 

心と体は、同時には戻らないという現実

心と体は同時に戻らないという現実を知った夜。

妊活をするんだから、体だけでも戻ったことを喜ぶべきなんだろう。

 

けど。

 

心が戻らないと、いずれ体も元に戻る。そんな予感がした。

もっと必死になればいいのか、もう少し引いてみればいいのか分からなかった。

 

分かったのは、心と体は同時に戻らないということだけだった。

私は焦りました、何をすればいいかわからないから。

中途半端な分、余計につらかった。

 

今までと同じようにしてるはずなのに!

なんで戻らないんだ!心は前と同じようにならないんだ!

 

焦った。

心の中で、「また同じことを繰り返すのか」と不安が渦を巻いた。

もうどうにでもなれという気分。

 

以前の交際でも、同じ様に気持ちがすれ違い、解決の糸口が見えなかったことがありました。

今は、結婚相手とそんな状況。怖い。

 

「ごめん」が言えた夜、やっと素直になれた

「傷つけてたよね」と言った妻の震えた声

妻が先に、口を開いた。

けど、、、そのおかげで素直になれました。やっと。

 

なぜなのか、なんなのかはわからないですけど、重たい肩の荷を下ろした気分になれました。

 

妻に甘える形になってしまいました。

こうなったら、とことん甘えたおすしかない!

別に悪いことしてるワケじゃないし!

夫婦関係の専門家である高橋知子氏は、「セックスレスの解消には、まず心の距離を縮めることが大切です」と述べています。

引用元:夫婦関係/高橋知子横浜相談室

 

みなさんは、パートナーとの関係で「甘える」ことに抵抗を感じたことはありませんか?

 

私は妻の言葉のお陰で、プライドを捨てて以前より断然素直に甘えられるようになりました。

すごく恥ずかしいのは今もですが、それでも気持ちを隠したり本音をズラして伝えたりはしなくなりました。

 

「俺も怖かった」と言えたことで変わった空気

妻の言葉を皮切りにうまく甘えられるようになり、私からも「怖かった」と、今までのことを伝えられました。

以前のように言葉を選んだりして、本音をズラしたりせず。

 

怖かったことを伝えられたことで、明確に空気が変わりました。

これが以前のように戻ったかと言うと、これがそうでもないんです。

 

素直になれた分、以前よりも居心地のよい空気になっています。

やっぱり夫婦で素直な気持ちを伝い合えるのって、とても大事ですね。

 

大事なのは、“どちらかが悪い”じゃなくて、“ふたりで向き合う”こと

「どちらが悪い」を決めだしたら、関係は終わりに向かっていくような気がします。

進んで「悪い方になりたい」と思う人はいないでしょうし、となると相手を悪く言う、または自分がいかに正しいか伝えるようになるでしょうし。

すると、相手の悪いところばかりがどんどん目につくようになって、逆に自分を正当化する口の回りだけはうまくなって。

 

妻の前に付き合っていた人の時が、そうでした。

常に粗を探して、ケンカしたときにあの時あなたはこうだった!と言えるように考えていてて。

どっちが悪いって決めてしまえば悪くない方は断罪するだけですから楽です。

なので、必死で口喧嘩に勝つこと・いかに悪くない方に回るかということばかり考えていました。

 

けれど長く夫婦でいることを考えたら、口喧嘩で勝って相手の気持ちをねじ伏せても関係が悪くなるだけです。

大事なのは悪いと断罪することより、2人で向き合っていくことかなと思います。

2人で向き合うための喧嘩なら内容もある程度建設的な部分が出てきますし意味があります。

 

今回の一件で、妻と向き合えて本当によかったです。

 

心でつながってはじめて、妊活が再スタートした

「妊活の話、またしようか」と自然に出た言葉

セックスレスが解消し心の距離も近づくと、妊活の話しようかという言葉も自然に出せるようになりました。

 

妊活を再開したからと言って、妊娠出産までたどり着けるワケではないです。

ですが、この言葉が自然に出せたことが、関係が以前より深くなれたことが本当にうれしかったです。

 

いい形で心を繋げることができたんだなと、実感できました。

 

あの夜から、“こなすための営み”じゃなくなった

“こなすための営み”という感覚が、完全になくなりました。

 

妊活目線で見たら、こなすための営みだろうが愛があろうが、子どもができれば目標達成なんだと思います。

逆に、愛があっても夫婦関係が上手くいっていても子供ができなければ、失敗なんだと思います。

 

だけど…!

 

子どもができるなら愛の先に子どもがいてほしい。

それに愛があると、「もう二度と壊したくない」という探り合いもない。

セックスレスになるんじゃないかという不安感がない。

 

こなすための営みだと、子どもができたらまたセックスレスになる可能性もかなり高いでしょうし。

やっぱりレスへの不安感がないのは、嬉しいですね。

 

夫婦って、感情の会話がないと、すぐに離れてしまう

夫婦って、感情の会話がないとすぐに心や体の距離が離れてしまう気がします。

 

感情的になって投げやりに何でもかんでも話せば伝わるし分かってもらえる!

というワケではないですし、ましてや

プライド捨てて恥ずかしい思いしてまで伝えたんだから相手は理解を示すべき!

というモノでもないでしょうし。

それだと恥ずかしい思いをすれば認められる、意見が通る、になってしまいますしね。

 

なので、感情の会話をするってすごく難しいと思います。

喧嘩に発展する可能性を常にはらんでいますし。

 

妻にセックスレスのことについて思っていることを伝えるのも、相当苦労しましたからね。

喧嘩もして投げやりにもなりました。

 

けど今の、セックスレスを解消できた現状ってその「感情の会話」をした先にあるんですよね。

これがなかったら、セックスレスの話をしたときに夫婦関係は離れていたでしょうし、そもそもその話すらなく離れていたかもしれません。

 

まとめ

セックスレスが終わっても、本当の意味で”妊活が再スタート”したとは言えなかった。

ぎこちなさや不安は、表面的には隠せても、心の中にはしっかり残っていた。

 

でも、少しずつ、変わっていった。

「ごめんね」「怖かったね」と、正直な言葉を交わせたその夜から、

僕たちは少しずつ、お互いの気持ちを”言葉”で確認し合えるようになった。

 

妊活は、身体だけでなく、心も使うもの。

そして夫婦の絆は、”対話”で深まるんだと、私はやっと気づいた。

 

\ 連載中「僕たちの妊活はじめました。」シリーズ /
#5 レスを越えても、心までは戻らなかった日|#7 通院の決意は、プライドを捨てた夜だった →

1件のコメント

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です