駅へ向かう妻の後ろ姿を、そっと写真に残した。

妊娠がわかってから、妻は通勤に使っていた自転車をやめて、駅まで歩くようになった。

妻の歩く姿なんて何度も見ているし、これからだってきっとたくさん見ることがあると思う。

だけど、
今日の歩く後ろ姿は、なぜだか胸に残った。

そんな日のこと。

日常がふっと変わる瞬間

自転車をやめた理由

妻は自転車に乗ることをやめました。
単純に、妊婦が自転車やバイクに乗るのはよくないからです。

妊娠が分かったその日から、一度も乗っていません。
その日から体を気遣って、ずっと徒歩です。

妊娠中の自転車利用は、転倒や急停止による腹部への衝撃リスクが高いため、多くの産科医が避けるよう指導しています。妊娠初期は子宮が小さく衝撃に弱く、外傷が流産の誘因となる可能性があります。中期以降は重心変化でバランスを崩しやすく、転倒リスクがさらに上昇します。【引用:日本産科婦人科学会「一般向けQ&A」/国立成育医療研究センター「妊娠中の運動・生活」】

大変そうな歩き姿

今まで乗っていた自転車を乗らないようになると、移動が大変になります。

同じところに行くでも、単純に時間が倍くらいかかります。
時間はいいとしても、体力を消耗します。

自転車に乗らないからOK!ではなく、体力消耗にも気を遣わないといけません。
かといって、バス停もなかなかいい場所にはありませんしね。

すると、移動がかなり制限されます。

そういったストレスを抱えながら、寒い中、妻は歩いています。

妊娠初期という“静かな変化”

妊娠後期みたいにお腹が大きく膨らんでいるわけじゃない。
見た目はほとんど変わらない。

でも、急激な変化が体内で起きているんです。
静かなのに、大きい変化。

眠くなることが増えたり、食べ物の味の感じ方が変わったり、疲れやすかったり。
ご飯の量が少し減ったり、炭酸水を飲みたがったり。

見えなくても、着々と変化が起きているんです。

そして、前回の記憶が影のように寄り添っています。
次回の検診は前回越えられなかった心拍確認。

この静かな変化を全力で受け止めて、夫として守っていかないといけない。
そんなことを感じさせる、妻の後ろ姿。

気づいたらシャッターを切っていた

妻には内緒

妻には内緒で、その歩く後ろ姿を写真に収めました。
スマホでサッと撮影した、なんの変哲もない後ろ姿です。

撮影したことは、当分の間、妻には内緒にしておこうと思っています。
時期が来たら、妻に渡します。

それには、私なりの思いがあります。

このただのなんの変哲もない一枚の写真が、後々大きなものになると確信しています。

うまくない写真でも大切な一枚になる

素人がいきなり撮影したうまくない写真です。
なんの調整も加工もしていません。

けどきれいにする調整や加工より、二度とない”今この瞬間”を収めることに意味がある。

自転車をやめて歩いたこと
それはジャケットからわかる冬の始まりのこと
そのとき、私たち2人はここに住んでいたこと
それは令和の時代のこと

下手な写真でも、絶対に価値のある一枚になる。
この写真一枚さえあれば、きっと思い出せる。今のこの気持ち、この瞬間。

気づけば私は、シャッターを切っていました。

あのときの背中を未来に残したい

妻のこの背中。
ただ歩いているだけですが、がんばっている姿。

この背中を、未来のふたりに残したい。

そんな思いがあります。
今は実感できませんが、きっといつか、残してよかったと思える日が来るでしょう。

そういった意味があるので、写真の綺麗さや構図の秀逸さなんて、どうだっていいんです。
ただ、あの日あの時の”妻ががんばる後ろ姿”を、ずっと手中に収められることに意味があるんです。

出産後に贈りたい写真

妻が見たらどう思うだろう

どう思うんでしょう?
楽しみです。

この一枚で、私のいろんな気持ちが伝わる気がします。

妻は、撮影した側の私の姿を想像するでしょう。
そう思うと、少し恥ずかしい気もします。(笑)

あなたなら、どう思いますか?

この瞬間は“今しか撮れなかった”

妻の後ろ姿を秘密で撮ること、なんてなんぼでもできると思います。

けれど、
妊娠初期。まだ心拍も確認できてない。
前回の記憶が蘇る中での、生活の変化。

これは、この瞬間にしか撮れない。
今じゃないと、意味がない。

安定期に入ったとして、その頃に撮る後ろ姿とは、まるで別物。

今まで写真にあまり興味がありませんでした。
動画が流行っている現代での写真撮影なんて、なおさら。

でも今やっと「瞬間をカタチに残す」という言葉の意味が分かった気がします。
結果がどうなっても、この写真は宝物になると思います。

家族になる途中の記録

安定期に入ってからのふたり最後の旅行の写真。
生まれたれの新しい家族の写真。

ではなくて、

家族になる途中、第一歩目の最初の記録。
歩きはじめた、妻の不安だけど強い後ろ姿。

そういったものを残したかったんです。

この背中が、家族の始まり。

ただの後ろ姿なのに、
妻が母になっていく途中にある“静かな変化”が写っていた。

写真は技術じゃなく、
“今を残すために撮るんだ”と気づかされました。

動画全盛の時代だけど、写真もいいよね。

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